2022年6月14日

★最新情報★ 医療通訳 二次試験の考察

2022年6月12日(日)一般社団法人日本医療通訳協会の医療通訳技能検定試験における二次試験が行われました。

今回、受験された生徒さんのお話を聞きますと、1級試験は「脳梗塞」と「心房細動」、2級試験は「アトビー性皮膚炎」がテーマだったようです。
過去問の販売はまだまだ先で、具体的な試験内容は不明ですが、あくまでも生徒さんからの聞き取りをもとに、1級の二次試験の考察を行います。

(過去の二次試験からわかること)
・一次試験の結果(1級か2級)によって、テーマが変わる。
・同じ級であっても、テーマが1つ以上の場合がある。
・2級は身近な病気がテーマ、1級は治療が難しい病気または稀な病気がテーマとなる傾向がある
・通訳の難易度は、2級より1級が難しいが、評価基準は同じ。(減点方式)
・1級と2級、同じテーマのことがあるが、内容が異なる。

(2022年6月 1級の二次試験の考察)
**出題テーマ**
「脳梗塞」「心房細動」は、厚生労働省の医療通訳育成カリキュラム基準の単語集にも記載されているテーマであり、選び方はオーソドックスな方法であったといえる。
※「心房細動」は、カリキュラムの単語集に、「不整脈(心房細動、心室細動)」と記載

**ヒアリング_長文の訳出**
通訳のはじめの部分、外国人患者話者(中国語又は英語)の長文の症状説明は、例年、受講生が苦労する部分である。
「脳梗塞」および「心房細動」では、例年と同じくらいの長さ、難易度だったと考えられる。(2文~4文)


**ここができなきゃ1級合格はあげられないという山場の部分**
最近の1級の二次試験では、過去に出題されていない部分(場面設定)が毎回取り入れられる傾向があり、「この部分ができれば1級の実力があるよね!」という意図を感じられる。

慌てることなく、話者と同じくらいのスピードをもって、この場面をつつがなく通訳できれば、1級合格の85点以上を満たすことができるであろうと考えられる。
「脳梗塞」では、脳梗塞による認知症機能障害についての医師による説明がそれにあたるといえる。
また、「心房細動」では、カテーテルアブレーションによる治療についての医師の説明がそれにあたるといえる。
「脳梗塞」はなぜその病気になってしまったのかを、理解しているうえで医師の説明を聞けば、話者が話終わったとたん、言葉にできる(訳出できる)と考えられる。
認知機能障害については一瞬戸惑うかもしれないが、そんな時こそ「パラフレーズ」を使い、1級合格者であればなんとか訳出して欲しい部分である。

「心房細動」、循環器の医療通訳は最も高度な分野の通訳の1つで、医師による説明は母国語であってもその場ですぐ理解することは難しく、訳出となれば更に大変難しい。スクリプトは公開されれておらず、まだわからないが、ここ例年の1級の二次試験のなかでも、「心房細動」は難しかったのではないか?と考えられる。

**今後の対策ポイント**
医療通訳の技能検定 1級レベルに求めているのは、難しい病気でも医療通訳者には、病気についてその通訳の場面で初めて知るということでなく、正しくすでに理解しているうえで、通訳して欲しいということ。
制限時間は15分と短く、スピードが求められている。つまり、翻訳のように、より原文に近い完璧な表現を求めて試行錯誤しながら訳出するのではなく、表現についてはニュアンスに間違えがなければそれでOK、医師と患者のコミュケーションの滞りなく行うことを、医療通訳者に求めている。

1. カリキュラムの単語集に出てくる病気の症状、検査、治療の説明を母国語、母国語以外で理解する。
2. カリキュラムの単語集に出てくる症状の単語は、母国語と母国語以外を完璧に暗記する。
3. 医師の説明は、難しい内容を難しく訳出する通訳よりも、シンプルな訳出ができるようにする
→シンプルに説明することは簡単ではありません。むしろ、真に病気のこと、検査のこと、治療方法のことを理解していなければ、シンプルな説明はできないのです。
4.各臓器の説明を、母国語と母国語以外でスムーズに訳出できるようになる。

(2022年秋 医療通訳技能検定 二次試験対策講座について)
全体講義では、中国語、英語ともに、患者話者(中国語または英語)のヒアリング強化、訳出強化練習を行い、スクリプトの最初の場面でのつまずきをなくします。
また、医師の説明の訳出練習も行い、自分なりのパラフレーズの引き出しを増やします。
2022年春の対策講座とはまた違うスクリプトとなりますので、春の二次試験対策講座を受講された方もぜひ、またご参加ください。

2022年秋の二次試験対策講座については、7月ごろHPにてご案内します。
お申込みは7月から行いますが、講座料金の振り込みは、一次試験結果通知のあととなります。

★最新情報★ 医療通訳 二次試験の考察